派遣の事務は何歳まで働ける?採用されるスキルや特徴を解説
派遣社員で事務職として働く際、何歳までこのスタイルで働けるのか、疑問に感じることはないでしょうか。正社員ではない以上、一定の年数で仕事先を変えなければならない派遣社員にとって、事務職として何歳まで雇用してもらえるのかは大きな問題です。今回は、派遣の事務は何歳まで働けるのか、採用されやすいスキルと特徴について解説します。
もくじ
何歳まで働ける?
結論からいえば、事務職の派遣社員として働く際に年齢の制限はありません。世間一般の派遣社員のイメージは、年齢層は20代で独身の女性が多いという印象があるようです。しかし、これはあくまでも世間が持つイメージというだけであり、実際の職場では、40代から50代の方まで、派遣社員として働いている方は数多く存在しています。
これは、仮に正社員の話である場合、20代であれば今後のスキルアップを見越して、まだ能力面が乏しいとしても採用されやすく、将来を見越した形で検討される機会が多いのは事実ですが、派遣社員という形態で働く場合は状況が異なります。
派遣社員は、ひとつの会社で働ける年数には限りがあるため、将来を見越した形ではなく、即戦力を求めているのです。ビジネスである以上、パソコンスキルが全くなく社会経験が乏しい20代よりも、パソコン知識と経験が豊富で電話対応もそつなくこなす50代の方が採用されやすいのです。
一般的な常識を持ち合わせており、それなりの社会経験があれば、事務職の派遣社員として働く際は、あまり年齢を気にする必要はないといえます。
採用されやすいスキルや特徴
事務職の派遣社員として働きたい場合、採用されやすいスキルや特徴はどんなものがあるのでしょうか。人材担当者が目を引きやすいスキルや特徴について解説します。
パソコンスキル
事務職として働く以上、ある程度のパソコンスキルは持っていた方が有利です。パソコンスキルといっても、簡単なメール送信や文章入力から、パワーポイントでの資料作成、エクセルで関数を用いて資料作成など、種類はさまざまです。
しかし、これらすべてをマスターする必要はなく、実際の業務で多く使うスキルに対応できれば問題ありません。不安な場合は、働きながらパソコン講座を受講したり、派遣会社に相談したりなど、対策を取ればよいでしょう。
事務経験があるかどうか
これまでに事務職の経験があるかどうかも重要なポイントです。過去に事務職の経験があれば、ある程度の要領がわかっていると判断され、採用されやすい傾向があります。
これまでに事務職の経験がなく、今後事務職の派遣社員として働きたいと考えている場合は、まずは事務職としての経験を積むことをおすすめします。たとえば、時給が安めで採用されやすい事務職の求人があれば応募し、最低でも1年以上は働きます。
ある程度の期間、事務職として働いたという実績を作ったうえで、本命の高時給の求人に応募すれば、未経験者よりも採用されやすくなるでしょう。
社会経験があるかどうか
事務職に限らず、社会経験があるかどうかも重視される点です。社会経験が乏しいと、一般的な社会常識があるか、電話や来客の際の顧客対応で、言葉づかいや振る舞いに問題がないかなど、不安視されるおそれがあります。
もし社会経験がなくても、ビジネスマナー講習を受講したり、派遣会社にビジネスマナーについて相談したりなど、自身で出来る限りの対策を取り、スキルを身につけたうえで、採用面接時にアピールすれば好印象につながるかもしれません。
年齢別の採用傾向と対策
事務職の派遣社員には、基本的に年齢制限がないことをお伝えしましたが、それでは年齢別に採用傾向の違いはあるのでしょうか?ここからは20台から50代まで、それぞれメリットや対策も含め解説していきます。
20代の採用傾向・対策
比較的まだ若い20代の場合は、たとえ未経験であっても入社・採用の確率は高くなる傾向が見られます。若いからこその体力や吸収力を求められるので、採用の幅は広めとなっています。
メリットとしては、派遣として働きながら就活やスキルアップを、同時に進められることが挙げられるでしょう。正社員と比べ時間的に少し余裕が生まれるため、自分に向いている仕事を働きながら見つけることも可能です。
注意点としては、派遣としての仕事が必ずしもスキルアップに繋がるかは不透明、という点が挙げられます。派遣という立場でサポート寄りの業務だけになってしまうと、気が付いたときには正社員になるのが難しくなってしまったということにもなりかねません。
そうならないためには、なるべく早い段階で自分向きの仕事を見つける、これから働くビジョンに沿った資格を目指すなどの対策が必要でしょう。
30代の採用傾向・対策
30代も基本的には、入社・採用の確率は高めです。例えば結婚や子育てなどライフステージの変化に合わせ、柔軟性のある働き方のひとつとして派遣を選ぶ方も一定数存在します。
メリットとしては、同じような働き方であるアルバイトやパートと比べ、高めの収入が期待できることが挙げられるでしょう。また、なにか別にやりたいことがある場合、勉強時間をとりやすいのも魅力です。
注意点としては、雇用先によってワークライフバランスが安定しづらい可能性があるということが挙げられます。一般的な派遣労働者であれば、勤務時間はしっかりと定められている場合が多いです。しかし、なかには残業を強いられる派遣先もあるので、選ぶ際には十分注意しましょう。
ちなみにもしも40代を目途に正社員を目指す方は、紹介予定派遣を利用したり、派遣業務と並行して就活を進めておくことをおすすめします。また、得意分野に関するスキルを高めておくことも、この先働くには大事になってきます。
40代の採用傾向・対策
希望する業種・職種に合ったスキルや資格、経験などが条件にはなりますが、即戦力としてなら40代の入社・採用の確率も高めといえるでしょう。
メリットとしては、30代と同じく比較的時間に融通を効かせながら、しっかりと働くことができる点が挙げられます。また、時給の仕事としては高めの収入であることも魅力です。
注意しておきたい点としては、なかには20~30代を優先的に採用する会社もあるということが挙げられます。対策として、前述したように自分が希望する業種・職種に関わるスキルや資格を取得しておくことが望ましいです。また、就業条件の範囲を広げてみるのも一つの手でしょう。
50代の採用傾向・対策
どうしても業務内容や場所は限られることが多いですが、50代でもスキルや経験次第で即戦力での採用が叶います。
メリットとしては、これまでに自らが身に着けてきた技術や経験を活かし、幅広く働けるという点が挙げられます。また、軽作業などであれば未経験でも就業可能なため、新しい働き方を見つけることもできます。
注意点ですが、やはり年齢がネックになることが懸念されます。仮に経験があっても、会社に受け入れを躊躇われたり、就業後契約を切られてしまうことがあるのも事実です。
対策としては、50代の就業に強みを持つ派遣会社に登録することが挙げられます。また、40代と同じく就業条件の範囲を広げることも有効といえるでしょう。
年齢が高くても活躍できる職種
年齢に関係なく活躍できる職種も多くあります。ここからは、おすすめの職種について説明します。
営業事務
営業事務は、年齢が高くても採用されやすい職種といえます。そもそも営業事務は、受け持つ仕事も多く、要領よくこなしていく必要があります。
電話対応に来客対応、営業サポートとして資料作成など、そつなくこなせる人材が求められるので、能力重視で年齢に関しては二の次になりやすいのです。営業事務の求人は非常に多く、企業によって求める人材も異なるので、狙い目の職種といえます。
コールセンター
コールセンターは求人数も多く、年齢が高めでも採用されやすい傾向があります。コールセンターの業務は大きく2つあり、自ら電話をかけて商品やサービスの営業を行う発信業務と、お客様からかかってくる電話への対応を行う受信業務です。
もしコールセンターの経験がない場合は、受信業務をおすすめします。発信業務は営業要素が強く、自身の性格によっても成果が大きく左右されるため、コールセンター未経験の場合は、受信業務の求人に応募した方が安心でしょう。
コールセンターは、会社の代表としてお客様対応を行うという側面も強いため、研修制度が充実している会社も多いです。心置きなく勤めることができるので、コールセンターもおすすめの職です。
40代や50代の派遣社員を求める企業は?
40代や50代から派遣社員として働くのは難しいのではないかと、悩んでいる方は少なくありません。結論から申し上げると、40代から派遣社員として働くことは十分可能です。
厚生労働省の調査によると、派遣労働者の年齢層別割合の中で、40代が最も高い割合となっています。実際に、40代以降の派遣社員を積極的に採用している企業も多くあります。
さまざまな企業で40代以降の派遣社員が活躍しているので、派遣の仕事がないのではないかと心配する必要はありません。
40代以降の派遣社員が多い職種としては「事務職」「データ入力」「コールセンター」などが挙げられます。そのほかにも清掃スタッフや品出し、スタッフとして働く派遣社員も多く存在します。
これらの職種は、年齢問わず活躍できるので、40代以降の方におすすめです。派遣会社に登録する際には、これらの仕事の求人を多く取り扱っている会社がおすすめです。
継続的に求人を紹介してもらえるのはもちろんですが、40代の派遣社員ならではの悩みや不安も解消してもらえます。派遣会社では希望者を対象として研修制度も設けているので、未経験の職種にもチャレンジできます。
また、これまでの経験やキャリアを活かせる職種もおすすめです。成長率や伸びしろといった面では若手に敵いませんが、経験やキャリアは転職の際に強みとなります。
とくに特殊な技術や資格、スキルが求められる職種では重宝されることでしょう。40代以降の派遣社員は、即戦力として採用される可能性が高まります。
なお、好条件な求人や有名企業の募集には応募が殺到するため、思うように就職活動が進められない可能性があります。応募が少ないニッチな職種を選ぶことも一つの手です。
ライバルが少ない求人を狙うことで、選考通過率を上げることができます。希望条件はあまり詰めすぎず、1件でも多くの求人に応募することが就職成功への近道です。
40代以上から派遣を始めるメリットやデメリット
40代以上から派遣社員として働くメリットとデメリットを紹介します。
40代以上から派遣を始めるメリット
40代以上の方が派遣社員として働くメリットは、自分の生活スタイルに合わせて働くことができるという点です。正社員として働く場合、勤務時間や出勤日が決められていることがほとんどですが、派遣社員の場合は週3出勤や短時間勤務などを選ぶことができます。
育児や家事、介護などと両立して働くことも可能です。また、子どもの行事や体調不良などの理由で急遽欠勤する際にも、派遣会社が仲介に入って交渉してくれるので、トラブルを未然に防げます。
また、派遣社員は時給が高い求人が多いため、短期間でもまとまった収入が得られます。平均時給で比較すると、パートが1,200円であるのに対し、派遣社員では1,600円とされています。
月8万円を稼ぐために必要な勤務時間を比べると、パートでは67時間も必要ですが、派遣社員では50時間なので、大きな差があります。
さらに、人気の高い事務職や在宅ワークの求人を見つけやすい点も魅力的です。事務職は求人倍率が高く、個人で就職活動をした際の採用率は、わずか20~30%ほどとされています。
一方、派遣会社では数多くの事務職求人を取り扱っており、就職活動をサポートしてくれるので、より採用される確率が高まります。また、近年急激に増加した在宅ワークは、40代の派遣社員にとくにおすすめの働き方です。
40代以上の方は、仕事の遂行や管理に関して信頼度が厚いので、採用されやすい傾向にあります。これまでに事務職としての経験やスキルを持っている場合には、即戦力として採用されることでしょう。
40代以上から派遣を始めるデメリット
40代以上から派遣社員として働くデメリットは、収入が不安定になりやすいということです。派遣社員は労働基準法によって、3年以上同じ職場で働くことができません。
時給は高いものの長期的な勤務ができる保証はないため、安定した働き方を希望する方には向いていません。ただし、派遣先でスキルを磨くことで、キャリアアップが目指せる可能性もあります。
3年同じ職場で働いた後の選択肢としては「派遣先で直接雇用」「派遣会社の無期雇用」「派遣先を変更」「転職」の4種類あります。派遣先の労働環境が良く、続けたい場合には、派遣会社のコーディネーターに相談して、直接雇用を目指すという方法があります。継続して働き続けることで、正社員としての道も拓けます。
ただし、派遣会社によっては当たり外れがあるので、注意が必要です。とくにトラブルになりやすいのが、コーディネーターの対応についてです。
コーディネーターの対応次第で、職場環境や待遇などに差が生まれることもあります。とくに40代以上の方は、家庭や子育てとの両立や将来的なキャリア形成など、さまざまな懸念事項を抱えています。
派遣会社のスタッフの質を見極めるためには、派遣登録会での応対をチェックすることが大切です。また、派遣会社に相談窓口やサポートダイヤルが、設置されているかどうかも把握しておきましょう。
まとめ
今回は、派遣の事務は何歳まで働けるのか、採用されやすいスキルや特徴、職種について解説しました。結論からいえば、事務職の派遣社員にとって年齢制限はないと考えてよいでしょう。
理由は、ビジネスとして捉える以上、年齢条件よりも、社会経験や事務経験があるかどうか、働くためのスキルが身についているか、を重視するためです。したがって、仮に年齢が高くても採用されやすい職種も多くあります。
営業事務やコールセンターなど、要領よくこなせる人材であれば、年齢については二の次という職種も多いのです。事務職の派遣社員を検討する際は、年齢よりも、実務でどの程度対応ができるのかという点が重視されると考えておきましょう。